『カラマーゾフの兄弟』——歴史に名を残した文豪・ドストエフスキーの代表作、東大教師が新入生に薦める本の一位、また、村上春樹氏が多大に影響を受けた3冊の内の一つとのことです。
一方で、その壮大で重層的な物語は、本であれオーディブルであれ、読者に少なからぬ難解さを突きつけてきます。
特に、ロシア文学特有の長く似通った名前や、文脈によって変化する愛称の存在は、登場人物の把握を難しくする要因の一つです。
さらにオーディブルでは、隙間時間のながら聴きでサクサク進めるメリットの一方、本のように気になった場面に気軽に戻ることができず、登場人物の関係を見失いやすい側面もあります。
そこで、物語の流れを見失わぬように、生成AIで再現したクラシック肖像画風のイラストとあわせて、主要な登場人物を簡潔にご紹介します。
主要登場人物13名とその肖像
フョードル・パーヴロヴィチ・カラマーゾフ｜三兄弟の父
放蕩で好色、無責任な性格。酒と女に溺れ、家庭を顧みない行動が、周囲に波乱をもたらす。
どこか芝居がかった言動と、空虚な内面が混ざり合い、物語の混乱の火種となる存在。
ドミートリイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ（ミーチャ）｜長男
本能に忠実で、怒りや嫉妬に突き動かされるが、どこか真っ直ぐで憎めない。
奔放な父を憎みながら、知らぬうちにその血を強く受け継いでしまっている自分に気づいている。
イワン・フョードロヴィチ・カラマーゾフ｜次男
鋭い知性と論理を武器に、神と正義を問い続ける哲学的な青年。無神論者。
冷静で近寄りがたい印象の裏に、世界の不条理に対する激しい怒りと悲しみが渦巻いている。
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ（アリョーシャ）｜三男
心優しく信仰深い修道士見習いで、家族や周囲の人々の心の支えとなる。
信仰を自然に受け入れ、他者を否定せず、怒りに染まらない。静かな中にも意志の強さを持つ。
修道士見習いという肩書き以上に、彼の存在そのものが“善”を象徴している。
アデライダ・イワーノヴナ｜ドミートリイの母
フョードルの最初の妻で、高貴な家柄の誇り高い女性。
フョードルのような男を選んだこと自体に、彼女の複雑な内面がにじむ。
気性が激しく、奔放な夫との結婚生活は早くに破綻した。
ソフィア・イワーノヴナ｜イワンとアリョーシャの母
フョードルの二番目の妻。
貧しい出ながら信仰深く、控えめな性格で家族を静かに支えた。
彼女の沈黙と祈りは、子どもたちの人生に目に見えない影響を与えている。
スメルジャコフ｜召使い
病弱で無口、そして皮肉屋。
フョードル家の召使いとして育つが、どこか全てを見透かしているような冷たい目を持つ。
フョードルの私生児との噂もある。
グリゴーリー・ワシーリエヴィチ（グレゴリー）｜古参の召使い
フョードル家に長年仕える忠実な老僕。
片足が不自由だが、家と信仰に身を捧げるその姿には、どこか宗教的な荘厳ささえ漂う。
スメルジャコフの養育者としての役割も担っている。
アグラフェーナ・アレクサンドロヴナ・スヴェトローヴァ（グルーシェンカ）｜妖艶な美女
妖艶で小悪魔的な振る舞いでで男を翻弄する存在。
表面は明るく魅力的だが、過去の傷を抱え、心の奥に繊細さと愛情を秘めている。
ドミートリイとフョードルの争いの的。
カテリーナ・イワーノヴナ（カチェリーナ）｜ドミートリイの婚約者
誇り高く知的で、情熱的な女性。
強い自尊心と複雑な感情を持ち、イワンとの関係に揺れ動く場面も描かれる。
ゾシマ長老｜修道院の導師
アリョーシャの精神的な支えとなる人物。
言葉少なく、ただ在るだけで人々の心を揺るがす存在。
善悪を超えた地点から語られる彼の言葉は、物語全体の底流となって流れつづける。
ホフラコワ夫人｜裕福な未亡人
おしゃべりで感情豊か。アリョーシャに心酔し、信仰や病の悩みを相談する。
どこか人間的な弱さと温かさがにじむ人物。
リーザ・ホフラコワ｜ホフラコワ夫人の娘
アリョーシャに恋心を抱く繊細な少女。
感情の起伏が激しく、思春期特有の揺れと真剣さを併せ持つ。
１９世紀ロシアのイメージ風景は以下を参照。
余談：100分de名著の解説が秀逸！
実は、NHKの100分de名著を見て、オーディブルで聞いてみようと思いました。
文豪・ドストエフスキーについて、物語の意図やその深みを知っておくと良いです。あるいは、ネタバレが嫌なら読後の考察に良いです。
これで準備はOKです
登場人物の顔と関係がわかれば、オーディブルで聴くのもずっと楽になります。
難しそうと思った方も、まずは気楽に再生ボタンを押してみてください。
このガイドが、物語を少しでもわかりやすくしてくれたなら嬉しいです。
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